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循環器病における食事療法のキーワード

1. 塩分編

 日本人の食塩摂取量は1日あたり平均11〜12gです。
 ほとんどの加工食品には食塩が使われていますし、調味料にも多くの食塩が含まれているため、
減塩をきちんと行うことは簡単ではありません。
 厚生労働省が推進する健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動)では成人の
食塩摂取量を1日10g未満にすることが目標とされています。
心臓病や高血圧の患者さんは6〜7g以下にすることが必要と言われています。

実際に量ってみました。

               

塩10g:小さじ山盛り1杯      塩6g:小さじ1杯

塩味のきいた食事から、急に塩分量を減らすと、味がないと感じたり、物足りない感じだけが残り、
減塩を途中でやめてしまう結果になります。
減塩を成功させるには、塩分量を一気に減らすのではなく、時間をかけて、少しずつ、段階的に
うす味に慣れていくのがよいでしょう。
そして長続きすることが目標です。 


減塩の工夫の実際

1)食卓から塩やしょうゆ、ソース、佃煮、ふりかけ、漬物をなくしましょう。
 (梅干し1個、たくわん3切れを減らしただけで、それぞれ2gずつの減塩)
2)しょうゆやソースは小皿にとって、ちょんっと付けるだけにしましょう。
3)季節の野菜や新鮮な材料を使い、材料の持ち味を生かしましょう。
  (塩鯖より生の鯖を焼いて軽く焦げ目をつければ香ばしさで十分!)
4)酸味(レモン・かぼす・柚子・すだち)を利用します。
5)香辛料(カレー粉・唐辛子・コショウなど)や香味野菜で味を引き締めます。
6)油のコクや焼き味を利用する。ごま油やオリーブオイルなど風味のある油も効果的です。
7)だしは、かつお節や昆布、煮干しを使い、旨みを濃くとって使います。
8)味は、しみ込ませず表面に付けます。
9)おかずは2,3種類を作り、味付けに濃淡を付けます。
10)和風しょうゆ味の副食は重ねず、洋食を組み合わせます。
  (ケッチャプ、マヨネーズ、酢で味付けすると減塩になります。)
11)干しうどんや練り製品(かまぼこ、ちくわ、ソーセージ)などの加工食品は塩分が多いことを
  意識しましょう。
   食品に何gくらいの食塩が含まれているかの目安ですが
     塩鮭(甘塩)1切れ100g:約2.6g   しらす干し大さじ2:約0.4g
     梅干し1個:約2.2g           かまぼこ2切れ50g:約1.3g
     たくあん3切れ:約1.3g         食パン1枚60g:0.8g   
     プロセスチーズ1切れ20g:約0.6g

                   

12)外食はできるだけ避けたほうがいいですが、必要な時は単品でなく定食を選びます。
13)うどんやラーメンの汁は残しましょう。
   一人前の塩分

                 

     約4〜5g            約7〜8g  

14)食事量を腹八分目にすれば、塩分摂取も減少します。
15)健康に良い食事を並べても、食べ過ぎては塩分やカロリーの取り過ぎになります。
16)調味料の食塩量を理解し、一日に使用する調味料は量ってみましょう。
    しょうゆ大さじ1杯:約2.6g  減塩しょうゆ大さじ1杯:約1.3g
    味噌大さじ1杯:約1.9g    ソース大さじ1杯:約1.3g
  (減塩調味料(しょうゆや味噌)を使うと食塩含有量は約半分になるので上手に利用しましょう。)
17)飲酒時のおつまみには塩分を多く含むものが多いため注意しましょう。
(アルコール適量はエタノール換算で20〜30ml/日⇒日本酒1合またはビール中瓶1本程度)


おまけ1
 問題です: 甘いと感じる食べものにも、塩分が入っているのでしょうか?
 答え: 甘みを増すために隠し味として入っていることがあります。
      砂糖の甘みは塩味を打ち消してしまいますので、
      塩分が含まれていることに気がつかずに食べていることもあります。
      アップルパイ1切れ:約1.2g    ベイクドチーズケーキ1切れ:約0.5g
      カスタードプリン1個:約0.3g  どら焼き1個:約0.3g  最中アイス1個:約0.2gなど
おまけ2
   どんぶりもののタレやみりん干しの調味料も舌では甘みを強く感じますが、
   同様に塩分が多く加えられています。

2. 脂質編

 成人の場合1日のエネルギー所要量のうち、脂質から摂るのは20〜25%が望ましいとされています。
脂質の摂取量を減らすことは、肥満の予防、解消にもつながります。
脂質の成分には血液中のコレステロールを増やす働きをする飽和脂肪酸と、コレステロールを
減らす働きをする不飽和脂肪酸があります。
動物性脂肪(魚を除く)が飽和脂肪酸で、背の青い魚や植物油などが不飽和脂肪酸です。
不飽和脂肪酸が中心となる献立が多くなるといいですね。

コレステロールを多く含む食品の代表は卵黄や肉類(豚、牛、鶏などの内臓や鶏の皮など)、
魚卵(いくら、たらこ、ししゃもの卵、かずのこなど)がありますが、全く摂らないのではなく、
1日に摂取する量を300mg以下にするのが望ましいとされています。
摂りすぎの場合は上手に減らしていきましょう。 


脂肪制限の工夫、低コレステロールのための調理コツ
1)肉類は、脂肪の少ない部位を使用します。目に見える脂肪はあらかじめ取り除きましょう。
2)魚類、鶏肉、大豆製品を中心に献立を考えましょう。
3)動物性油脂より植物性油脂を使用するほうがいいです。
  (バターやラードの代わりにマーガリンやサラダ油を活用するようにしましょう。植物油ではヤシ油
  よりオリーブ油や紅花油を選ぶとよいでしょう。)
4)卵はコレステロールを多く含むため、一日一個程度に控えます。
  (イカ、海老、タコ、蟹、貝類は血中コレステロール値を低くする働きのあるタウリンを含んでいる
   ので摂り過ぎなければよいとされています。)
  コレステロールを多く含む食品
      卵(卵黄)1個:280mg       たらこ1/2腹:140mg
      うなぎ蒲焼100g:230mg     ししゃも3尾:138mg
      すじこ20g:102mg        するめいか1/2杯:216mg
      鶏レバー50g:80mg  など
5)食物繊維はコレステロールの吸収を妨げる働きがあるため、芋類、根菜類、きのこ、海藻類を
  十分摂取できるようにしましょう。
6)下表に示す脂肪の多い肉類や、バター、ラード、卵などのような、血清コレステロールを上げる
  食品を理解しておきましょう。

 脂肪の多い肉類 牛・豚のバラ肉・ロース肉
脂肪の少ない肉類 牛・豚よりも鶏肉
 脂肪の少ない部位  牛・豚であれば肩肉、モモ肉、ヒレ肉、鶏肉であればささみ、皮なし鶏肉

7)煮たり炒めたりするより、蒸したり網焼きにして油を落としましょう。
8)テフロン加工の調理器や電子レンジで調理して、使用する油の量を少なくしましょう。



3.カロリー編

 カロリーを摂りすぎると体重増加、肥満になります。肥満は動脈硬化を促進させ、
心臓の負担を増加させます。標準体重に近ずけるようにカロリー制限が必要です。

カロリーを下げるための工夫
1)3食きちんと食べましょう。
2)間食はできるだけ控えましょう。摂取する時は以下の点に注意しましょう。
  ・洋菓子は和菓子に比べカロリーが高いです。
  ・果物はビタミンも多いが糖分も多いです。
  ・缶ジュース類は糖分が多いため、お茶にする。

         

    344kcal    206kcal

標準体重(s)=身長(m)×身長(m)×22
  例えば身長160pの人場合…1.6(m)×1.6(m)×22=56.32
  約56.3sになります。


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